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岡山県では台湾留学生を受け入れる学校で有名な共生(きょうせい)高校。夏の岡山県大会では4度8強入りし、秋の中国大会に3度出場した実力校。現在、西武ライオンズで活躍する吳 念庭ウー ・ネンティン)や元ソフトバンクの李 杜軒(リー・トゥーシェン)など、日本のプロ野球界に4人を輩出。共生高校の部員は、台湾人留学生5人を含む16人。甲子園出場を夢見て、日本に来た台湾留生。甲子園への挑戦を奪われた今、その心境を聞いた。 台湾のテレビでみた甲子園の地で野球することを夢みて留学を決意 今年、創部初の台湾人主将を任された林 承緯(リン・チェンウェイ)。U12の台湾代表として選ばれた実績をもっている。「中2の夏にテレビで甲子園でみていたときに、応援が凄かったのでここでやってみたいと思いました」と照れながら話す。台湾では日本のNHK BSが放送されている。そこで夏の甲子園大会を見て、大観衆の中で自分もプレーしたいという夢を持った。森下監雄一監督は「彼らがやろうとしているのは“野球”というより“Baseball”に近いです。日本の高校野球はいかにボールを正面でとるかと言われていますが、台湾の選手は逆シングルでとったり、片手で取ろうとします。でも、それでもいいと思っています」と、台湾との野球観の違いについて話す。 全員が寮で生活し、寝食を共にしてきた。下級生がいないため、グラウンドや道具の準備・整備、食事の支度もしてきた3年間 台湾の選手はどれぐらい日本語を話せるのか?そう疑問に思った。「最初は日本語を喋れないと思ったけど、意外と話せてビックリしました。今はコミュニケーションで困ることはありません」とエースの内海君が話す。林主将については「こちらが話したことを分かろうとしてくれます。バッティングではチームを引っ張ってくれる頼りになる存在です。プライベートは、おちゃらけていますね(笑)」。内海奎太郎君は新チームになって少しの間、林主将と一緒にキャプテンをしていた。林主将にとっても内海君は今でも「困った時には助けてくれる」大切な存在だ。「最後の夏」に最高の試合を 最後の夏に頂点を目指す共生ナイン。「多感な世代が異国の人と触れ合うのは貴重な体験。お互い理解しあおうとしますし、人生観がちょっと変わると思います」と森下監督 甲子園開催の中止で涙をしたのは、日本人だけではない。覚悟を持って海を渡ってきた留学生たちもいる。中止の報道は寮でテレビを見ていたときに知ったという留学生たち。その時の心境を「残念です」「甲子園へチャレンジしたかった」とポツリ。憧れの甲子園で試合をするために日本へ来た留学生。本当はもっと言いたいこと、伝えたいことがある。ただ、その気持ちを日本語でどう伝えればいいのか分からないのかもしれない。短かい言葉のなかに、彼らの計り知れない悔しさを感じた。目標にしていた甲子園への挑戦は叶わなかった。林主将は「代替大会開催があるのは楽しみです。チームとしてみんなと一戦一戦大事にしたい」と意気込みを語った。蘇 翊(スーイー)は「日本人の指導者の方に色々とお世話になったので、最後まで諦めない姿をみせたい」と感謝を述べた。日本が大好きだという劉 郡廷(リュウ・チェンウェイ)は「悔いの残らない試合にしたいです」と気持ちは前を向いている。 今年のチームはクリーアップを留学生3人が担う。(左から)身長185㎝とチーム一の長身で投手も兼任する劉(リュウ)。昨秋の県大会地区予選で3本塁打を放つなど長打力が持ち味の林(りん)。選球眼が良い蘇(スー)。レギュラーではないがムードメーカーの荘(ツァン)。※一人は帰国中 実はこの夏をもって野球部は休部することが決まっている。卒業後、台湾の選手は大学に進学しプロ野球を目指す選手もいる。野球部は休部するが、野球を続ける選手が共生の想いをつなげていく。それぞれの夢にむけて自信をつけるための大会が、明日開幕する。(取材・文・写真/永野裕香) 関連記事 【仙台商業】下は向かない。打倒私学に「燃える」夏2020.7.13 学校・チーム 【大冠】休校中も続けた「1日最低1000スイング」で大阪をとる!2020.7.6 学校・チーム 【西尾東】一人も辞めなかった3年生、最後の大会も全員で!2020.6.30 学校・チーム 【敦賀】センバツ落選から立ち上がり、「夢」観客試合で思い出を作る2020.6.22 学校・チーム 【玉野光南】「声」の大切さを再確認、代替大会でNo1を目指す2020.6.16 学校・チーム 【唐津工業】「がばい旋風」で球史に名を残した副島監督、代替大会で「1勝」目指す2020.6.5 学校・チーム 【聖光学院】野球を愛しているから目指す「心のなかの甲子園」2020.5.26 学校・チーム
元記事リンク:【共生】憧れは甲子園、台湾からやってきた留学生が迎える「最後の夏」
