【市立船橋】海上雄大監督|大事なことは「ミーティング」でしっかり伝える

【市立船橋】海上雄大監督|大事なことは「ミーティング」でしっかり伝える

市立船橋の海上雄大監督インタビューの後編。部長時代の失敗を生かして、気がついたことはスタッフ同士で共有し、スケジューリングも細かく提示するなどの取り組みに生かしているという市立船橋。長い指導者としての生活の中で考え方として変化してきた部分もあるといいます。(聞き手:西尾典文)大事なことは「ミーティング」でしっかり伝える インタビュー前編はこちら→ ——スケジュールや野球ノートをスマホのアプリで管理しているというのは令和の高校野球らしくていいですね。海上 実際に作ろうとなった時はまだ部長の時でしたが、前任の監督の桜内先生にも相談したらOKということで導入しました。練習だけでなく、試合での個人の打率なども分かるのでそれも凄く助かりますね。失敗から生かしたものかは分かりませんが、新しいものを入れていくのは良いことかなと思います」 ——新しいツールも駆使されているとのことですが、それでも監督の意図がなかなか選手に伝わらずに苦労したこととかはないですか?海上 それはしょっちゅうありますよ(笑)。色々経験してきて、グラウンドで生徒が立って話を聞いているようなシーンでの話は、基本的に伝わっていないと思うようになりました。だから、こちらが本当に伝えたい、伝える必要がある話をする時は、生徒に座らせてからするようにしました。それも練習と練習の合間に少し話をするのではなく、「今日はミーティングをする」と、しっかりと時間を確保してやるようにしています。完全に座学で、そのための資料も用意します。その方がしっかり頭に残るなと。——大事な話はきちんと伝えたいということですね。海上 思い返してみると僕もそうでしたからね(笑)。練習中に何か言われても、その後にすぐ動いたらなかなか残りませんから。今年の秋の県大会で負けた後は、一週間完全に野球の練習はやらずに、完全にミーティングだけにしました。自分だけでなく、コーチ、スタッフとも役割分担してトレーニングの分野から各ポジション、打撃、守備、走塁などのプレー、戦術みたいな感じで分けましたね。それも全員が全分野聞くようにしました。部員数が多いことの弊害で、自分が担当しないポジションとかに興味を持たないこともあるんですよ。それが言い訳に繋がることもある。だからそういうことがないように、全員が共通で色んな知識、認識を持てるようにということで思い切って時間をとりました。 ——失敗とは逆なのですが、監督になられて2年目で夏の甲子園にも出て、勝ち星もあげられました。その要因としてはどんなところにありましたか?海上 本当に運が良かったというのが一番ですね。あとは生徒はもちろん、スタッフも含めてチーム全体が上手く回ったなというのは感じました。必ず点をとられるところからスタートして、いつも『ふざけるなよ』とは思っていたのですが(笑)、逆転が続いたことで先制されても慌てなくなって、良い意味で慣れたというのはあったと思います。1点にこだわり過ぎると1点をとられた時のショックも大き過ぎるということもありますからね。次の代もその良い部分は受け継いでいたのですが、さすがにとられ過ぎというのはありました(笑)。 ——毎年選手が変わる高校野球だからこそ難しい部分は多そうですね。海上 甲子園に出た代は爆発力はあったので、それを上手く生かせたのかなとは思います。だからその年、その年の選手の特徴を早くつかんで、それに合わせて力を発揮できるようにすることがこちらとしては重要かなとは思いますね。 ——部長時代を含めて20年以上経つと思いますが、監督自身の考え方として変化した部分はありますか?海上 若い頃はどうしても野球の技術を教えて、生徒に上手になってほしいというのが第一だったと思います。ただこちらも色々勉強していくと、やっぱり野球の技術というのは難しいですし、正解があるものではないと強く感じるようになりました。こちらの知識、教え方が合う生徒もいれば合わない生徒もいる。そうすると、ある程度の引き出しは持っておきながらも、生徒がいかに自分でやる気になって取り組んでやるかという方が重要ではないかという風に考えるようになりました。あと監督になってからは、生徒に何か聞かれた時に自分で全て答えられなくても、導けるスタッフを揃えたり専門家を呼んでくることができるということが大事かなとは思うようになりましたね」 ——野球に限らず、市立船橋の野球部で3年間プレーしたからには、こんな意識は持っておいてほしいというのはありますか?海上 自分が商業科の教員ということもあって、よくビジネスにも例えるのですが、その組織、野球部員でいる間は野球部ですよね、そこにとって利益をもたらせるような人間でないと価値がないよという話はしますね。ちょうど近くにディズニーランドがあって、なぜあそこが世界一と言われるのかというと、スタッフの人全員がお客さんにもう一度来てもらうためにはどうしたら良いかということを考えて行動しているからじゃない?みたいなことも言いました。伝わっているかは分かりませんけど(笑)。あとはどんなタイミングでも良いので、節目、節目で顔を出したり報告に来てくれるとやっぱり嬉しいですね。この前もうちのOBで大学、社会人で続けている選手と現役選手が試合をする機会があったのですが、そういう試みは今後も続けていきたいと思っています。(取材:西尾典文/写真:編集部) 関連記事 【聖光学院】斎藤智也監督|屈辱的な大敗から学んだ「パワーアップ」の必要性2023.12.15 学校・チーム 【近江】多賀章仁監督|「勝った」と油断・・・手痛い逆転負けが監督としての出発点2023.12.6 学校・チーム 【享栄】大藤敏行監督|仕掛けなかった、挑戦しなかったことに対する悔い2023.11.24 学校・チーム 【履正社】夏に勝つ為に必要になる、複数投手の育成2023.11.10 学校・チーム 【明豊】川崎絢平監督|初めての甲子園で痛感した、事前対策の重要性2023.11.1 学校・チーム 【日大三】三木有造監督の失敗と後悔、2006年西東京大会決勝での後悔2023.7.27 学校・チーム 【広陵】進化する名門、Instagramで「野球の楽しさ」発信2023.7.25 学校・チーム 【山梨学院】吉田洸二監督|「万全の準備」で臨むことの大切さを学んだ、初戦敗退2023.7.22 学校・チーム

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