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プロ選手たちはパフォーマンスを発揮するためにどのような意識でバットを選び、練習に取り組んでいるのだろう。日本球界を代表する2人のトッププロに取材した。キャリアハイも「不甲斐なかった」 ——まずは2025年の成績を振り返ってみていかがですか?(87試合で打率2割7分7厘、12本塁打、41打点/チームは2位)。本塁打、打点は昨季の数字を上回りました。水谷 数字だけを見れば、それなりに良い1年でした。でも、自分の感覚としては腑に落ちないシーズンでした。ケガで出遅れましたし、前半戦は状態もなかなか上がりませんでした。ポジティブに考えたら、後半戦に巻き返して多くの部分でキャリアハイの成績を残せましたが、シーズンを通して活躍するという思いで臨んだので不甲斐なかったなというのが1年を振り返っての感想です。——3月には侍ジャパントップチームにも初選出され、オランダ代表との強化試合第1戦で先頭打者を放つなどインパクトも残しました。その経験はいかがでしたか?水谷 小学校から高校まで地域の選抜チームすら経験がなかったので「選抜選手たちに勝ちたい」と、いつも思っていました。侍ジャパンには選ばれたことは嬉しかったですし、次は(単発の強化試合ではなく)国際大会に侍ジャパンとして出場してタイトルをかけた戦いをしたいですね。——打撃でキャリアハイの成績を残せた要因はなんでしょう?水谷 引き出しが増えるなど「考え方」の成長が大きいです。2024年に多くの出場機会をいただいた中で見えてきたものがたくさんあったので、冷静に状況判断ができるようになりました。——2026年シーズンのテーマは?水谷 目標はたくさんありますが、一番大きなテーマとしては「トリプルフォー」。444以上の打席に立ち、444以上のイニングで守備につくことです。そこを通過した先にどれくらいの成績を残せるかということにチャレンジしていきたいです。 目指すは大谷翔平やアーロン・ジャッジ ——目標達成のため“道具選び”にはこだわっていますか?水谷 プロ3年目くらいから同一仕様のバットを使っていましたが、2025年のシーズンではグリップを少し細くしました。2026年のシーズンではさらに全体の長さを変えようと思っていて、12月に試し打ちをさせてもらいました。——バット全体の長さを0.5インチ(約1.27センチ)長くして34.5インチにしたと聞きました。水谷 長いバットを扱うのは難しいことですし勇気が要ることです。でも、現状維持では進化しません。体もまだまだ成長しているので、恐れずに変化することを選択しました。世界一の左打者である大谷翔平選手(ドジャース)と世界一の右打者であるアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が35インチを使っているので、それが1つの正解だと思うんです。急にそこまで行くのは無理ですが、目指していきたいと思いました。——マルチ&ヴィクタスのバットを使用している理由は、どんな点ですか?水谷 プロ3年目から使用させてもらっています。クオリティも高くて、良い結果も出ましたし、リクエストに応えてくださる体制があるので継続しています。打球の感覚もBPLで出る数値もどちらも良いです。——BPL測定では、どのようなことを確認されていたんですか?水谷 振り抜きやすさなど自分の感覚と計測されたデータを見比べて、どちらも良いものを探して擦り合わせました。 野球を辞めようと思っていた ——高校時代は道具にどれくらい意識を持っていましたか?水谷 高校に行くまでグラブを磨いたことがほとんど無かったんです(笑)。やり方も知らなかったし、どのオイルがいいかもわからなくて。一度見よう見まねでやってみたらオイルが古いものだったので、臭くてベタベタになってしまったことがあって、それ以降やらなかった(笑)。でも高校で寮に入って、携帯電話も禁止で時間もあったので、同部屋の子に磨き方を教えてもらいながらやるようになりました。——愛知県から島根・石見智翠館高への野球留学、寮生活をした3年間を振り返ってみていかがですか?水谷 とても濃い3年間でした。娯楽が少ない地域で携帯電話も触ることができない中で、考える力が磨かれました。親元を離れたことで親への感謝も増しました。あとは……耐える力もつきました(笑)。寒さも厳しいですし、当時は上下関係も厳しかったので。——そもそも、なぜ石見智翠館高校へ?水谷 寮に入りたかったんです。親に甘えられない環境に身を置きたくて。あと島根は西にあるので、なんとなく温かいんじゃないかなっていうイメージがあったんですよ。なんならヤシの木が生えているかも!? くらいのつもりで行ったんですが、日本海側はメチャクチャ寒いと知りました(笑)。——甲子園は惜しくも出場できませんでしたが(3年夏は県大会決勝で敗退)、とても大事な時間だったんですね。水谷 そうですね。もともと阪神ファンなので、甲子園球場は特別な存在なんです。プロに入ってから甲子園でプレーする機会もありますが、高校野球にとっての甲子園球場は特別な存在なので、行きたかったですね。でも甲子園に行っていたら僕は今こうして野球をしていないと思います。——「甲子園に行っていたら今野球をしていない」というのは?水谷 実は、3年生の夏が終わったら野球を辞めるつもりでいたんです。監督には全力で止められていましたけど。とにかく甲子園に行きたいという気持ちで高校に入ったんですが、練習があまりもハードだったので、2年生の冬にはもう野球をしたくなくなっていました。甲子園への気持ちも薄れかけましたが、3年の春前に野球雑誌に自分の名前が出たんですよ。「全国トップ25の外野手」の一人に選んでもらって、「最後の夏だけは」と気持ちが切り替わりました。秋は6番打者だったのに、自分のことを見ている方がいて載せてもらえたことが励みになったんです。——最後の夏が終わった後、どうして野球を続けようと思ったんですか?水谷 テレビで甲子園を見ていて羨ましくって(笑)。目立ちたがりなので、最後の試合が終わって時間が経つと、甲子園に出られなかった寂しさがふつふつと湧き上がってきました。それに、観に来てくださっていたスカウトの方のことを考えるうちに、「プロに行こう」と思うようになりました。——最後に今この記事を読んでいる高校球児に向けてメッセージをお願いします。水谷 振り返ると高校時代は辛かったし、僕らの時代は理論的なことより練習量が重視されていたので、なかなか休めず、どこかで力を抜くことは必要だと思っていました。全部フルでやっていてもケガしてしまうし、サボり過ぎていてもベンチに入れないし……見極めは難しいですけどね。その上で今、僕が伝えたいことは「2年半しかない時間を無駄なく過ごしてほしい。長いようで一瞬の時間だ」ということですね。少しのきっかけとか、ひと冬で変われると思うので、やるべき時は死に物狂いで頑張ってください。(取材・文:高木 遊/写真:花田裕次郎)PROFILE2001年3月9日生まれ。193cm / 100kg。右投右打。島根・石見智翠館高から2018年にドラフト5位で福岡ソフトバンクホークスに指名されプロ入り。北海道日本ハムファイターズに移籍した2024年に才能が開花し、交流戦では、史上最高打率となる.438を記録しMVPを獲得。2025年には侍ジャパントップチームにも初選出され先頭打者本塁打を放ち、シーズンでも自己最高の成績を残した。140m超えの打球を放つこともあるパワーと、50m6秒0のスピードを兼ね備えた大型外野手として、さらなる活躍が期待されている。 関連記事 周東佑京(福岡ソフトバンクホークス)|プロ野球選手に聞いた!バッティングにまつわる一問一答2026.4.29 PR 唯一無二のバットフィッティング Baseball Performance Lab2025.4.14 PR メジャーリーグでのシェア率No.1!marucci & Victusでホームランを狙え!2025.4.14 PR 糸井嘉男インタビュー|今だったら絶対アメリカの大学を目指す2025.4.4 PR
元記事リンク:水谷瞬(北海道日本ハムファイターズ)|プロ野球選手に聞いた!バッティングにまつわる一問一答
