【県立千葉】黒川健太監督|限られた練習環境、「練習試合でいかに実戦的なことをやるかが重要」

【県立千葉】黒川健太監督|限られた練習環境、「練習試合でいかに実戦的なことをやるかが重要」

千葉県でも屈指の進学校として知られる県立千葉高校。野球部は近年なかなか上位進出を果たすことができずにいたが、今年はエースの加賀谷一投手の存在もあって、県内でも注目を集めている。専用グラウンドがなく、練習時間も限られた中でどのように結果を出そうとしているのか? チームを指導する黒川健太監督に話を聞いた。選手レベルの差が大きいのは進学校ならでは県立千葉高校は外房線の本千葉駅から小高い丘を登ったところに学校を構えている。グラウンドはそれなりの広さはあるものの、野球部の専用ではなくスペースは限られており、室内練習場もない。取材当日も雨だったが、部員は校舎内の廊下などを使って練習をしていた。黒川監督は千葉県立成東高校から千葉大へ進んで教員となり、5年間は県立追浜高校で顧問などを歴任。2019年4月に県立千葉高校に異動となり監督に就任している。県下でも屈指の進学校での指導、そしてプロも注目する選手を預かる大変さはどういったものがあるのだろうか。——県下屈指の進学校の野球部の印象はどうでしたか?「自分が赴任する前は、様々な事情で指導者がほぼ不在という状況でした。そういうこともあって、選手からも保護者からもやっと野球を指導してくれる教員が来るということで歓迎してくれる雰囲気はありました。野球の面では早くから生徒と信頼関係はできていたかなと思います」——選手のレベルや進学校ならではの指導の難しさはありましたか?「どうしても選手のレベル差はあります。加賀谷のように最初からある程度戦力になれる子もいれば、本格的に野球をやったことがない子もいる。今年の1年生も4人は中学で野球をやっていなかった子です。そういう子も3年生と一緒に練習するので、そのあたりの難しさはありますね」——受験勉強に集中するために3年の夏までやらない選手もいますか?「今までそういうケースはないです。勉強も大変で、他にも部活がある中で野球部を選んで入ってきてくれているので、野球に対する覚悟は凄く感じます」——加賀谷選手の話では、メニューなども比較的選手が主導という話でした。「赴任した当初は基本的なことから教えていました。ただこちらが教えたことがある程度できるようになっても、そこから一歩抜け出すためには与えているだけではダメだと思うようになって、生徒に任せる部分を多くするようにしました。自分で課題を感じて、自分でこうしたいという形で取り組まないともう一歩上には行けない。練習量ではどうしても勝てないので、そういう部分でやるしかないと思って、ここ数年は今のような形にしました」——千葉県は学校数も多くレベルも高いですが、その中で設備や練習時間に恵まれない県立高校が甲子園を目指すというのは相当ハードルが高いと思うのですが、目標はどのようにおいていますか?「甲子園を目指すという気持ちは当然持っていてもらいたいです。ただ、頑張ってもすぐ結果が出ないところが野球の面白さでもありますし、勝つ、負けるは後からついてくるものです。それよりも野球をやっていて良かったと思える時間や、将来に繋がることが大事かなと。ですから生徒の提案も聞いて、今年はベスト16を目標にしました。加賀谷に関しては、入学当初から良いものがあったので『甲子園クラスのピッチャーになるんだよ』という話はして、やっとその気になってきたかなと思います」——特にチームとして重視しているところはありますか?「夏休みなど、ある程度練習時間が多くとれる時に走塁についてはかなり力を入れて取り組んできました。個々の力がなくてもアドバンテージをとれる部分はそこだと思いますので。あとは、普段はどうしても練習スペースがとれないので、基本的な練習が多くなる分、練習試合でいかに実戦的なことをやっていくかが重要だと思います」自分で考えて野球ができる環境——今年のチームは加賀谷投手が注目を集めていますが、入ってきた時の印象はどうでしたか?「お兄さんもうちでプレーしていて、キャッチャーで4番を打っていていい選手でした。加賀谷自身もキャッチボールや他のプレーを見てもセンスが違うし馬力もあるなと思いました。ただ入学当初はまだ幼く、生活面については厳しく言ったこともありました」——ここまでは期待通りの成長ですか?「そうですね。去年の6月に東京大と練習試合をさせてもらって、それが一つ大きな経験になったと思います。140キロくらいがポンポン出て、ここまで成長しているのかと驚きました。昨年の12月に県選抜チームにも選ばれて、そこでレベルの高い選手と一緒にやったことも良いきっかけだったと思いますね」——将来有望な選手を預かる大変さはありますか?「まずは怪我をしないようにということは気を付けています。特に大会の前はいつもヒヤヒヤしますね。徐々に取材なども増えてきて、慣れないこともありますが、名誉なことですし、注目していただけるのはありがたいです。本人もそこまで浮ついたようなところもないので、安心しています」——最後に県立千葉の野球部ならではの良いところ、また県立千葉で野球をするからにはこういった将来を送ってほしいなどをお願いします。「まず自分で考えて野球に取り組める環境だというところが一番の特徴です。それが野球の楽しさに気づくことにも繋がっていくと思います。ただ試合になれば当然勝つことを目指しますし、強豪相手でも0対10で負けてしまっては楽しいものにはならないので、どんな強豪を相手にも勝ちを目指すというところはぶれずにやっていきたいですね。そして卒業後についてはどんな形でも長く野球を続けてもらいたいという思いがあります。現在大学の野球部で続けてくれている選手もいるので、そういう姿を見るのは大変嬉しいですね。また、仲間と真剣に野球に向き合えるのは学生時代までですし、仲間と何かやり遂げる経験や自身で考えて道を切り開いていく経験をその後の人生に生かして社会に貢献してもらいたいです」(取材・西岡典文/写真・編集部) 関連記事 【県立千葉】加賀谷一|まずは医師免許取得、その後全力でやってプロ野球を目指したい2026.7.10 選手 【市立松戸】広瀬結煌|やらされているのではなくて、楽しみながらやっている2024.12.21 選手 【市立松戸】朝隈智雄監督|その選手に上手くはまるトレーニングを見つける2024.12.16 学校・チーム 【市立松戸】朝隈智雄監督|大事にしているのは、ゲーム数、トレーニング、修正に対するコツの提示2024.12.7 学校・チーム 【中央学院】甲子園で敗れて学んだ、「細かな優先順位」を決めておくことの大切さ2024.3.27 学校・チーム 【中央学院】相馬幸樹監督|意識しすぎた強みとストロングポイント2024.3.20 学校・チーム 【市立船橋】海上雄大監督|大事なことは「ミーティング」でしっかり伝える2024.1.13 学校・チーム 【市立船橋】海上雄大監督|部長時代に感じた試合当日の違和感、監督に共有しなかった後悔2024.1.4 学校・チーム 【専大松戸】名伯楽・持丸監督に訊く「投手育成論」(後編)2022.4.11 学校・チーム 【専大松戸】名伯楽・持丸監督に訊く「投手育成論」(前編)2022.4.8 学校・チーム

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