今春のセンバツ高校野球大会出場も決めた、昨夏の甲子園王者仙台育英。チームを率いる須江航監督の著書『仙台育英 日本一からの招待 幸福度の高いチームづくり』(カンゼン)が昨年12月の発売以来話題を呼んでいます。そんな著書から、第4章「チーム作りは文化作り ー組織論」の一部を紹介します。「2:6:2」の下位層に声をかける 組織全体のモチベーションを保つ方法 どんな優秀な組織であっても、『働きアリの法則』が当てはまると考えています。つまりは、意識が高いトップ層の2割と、中間層の6割と、モチベーションが低くなりがちな2割の「2:6:2に分かれる」という法則です。仙台育英においても、これまでお話ししてきたような、モチベーションを高める取り組みをやっていたとしても、下位層の2割は必ず出てきてしまいます。どの層にアプローチをかけて、組織全体を押し上げていくか。これは、指導者によって考え方が変わるところだと思います。私が重視するのは、下位層の2割です。この層が目標を見失うと、中間層の半分ぐらいが下に引っ張られるようになり、5:5の組織に分断されてしまいます。この状態では、「良き文化」を築き、後輩に伝えていくことなどできないでしょう。私は、「悩んでいるな」「カベにぶつかっているな」「進むべき道がわかっていないかな」と感じる選手ほど、「どう?自分の持ち味が何かわかっている?」と声をかけて、丁寧に話を聞き、コミュニケーションを取るように心がけています。繰り返しになりますが、学生時代に何の実績もない私ができることは、選手の話に耳を傾けることです。ただし、声をかけるだけでは、限界があります。「この力を伸ばせば、メンバーに入れるチャンスがある」というように、具体的に見える〝やりがい?、もっとわかりやすく言えば、努力する〝メリット?が見えていなければ、どれだけ丁寧にコミュニケーションを取ったとしても、頑張ることはできないものです。「日本一激しいメンバー争い」にこだわり続けているのは、組織全体のモチベーションを考えたときに、現時点ではこれがもっともベストなマネジメント方法だと思っているからです。「おれなんて、どれだけ頑張っても、メンバーに入れない」と思った時点で、意欲が下がっていくことは、ある意味では当然のことだと思います。現状でも100点の組織作りができているわけではありませんが、選手と丁寧にコミュニケーションを取り、チーム全体のモチベーションを高めることに努めています。(続きは書籍にてお楽しみください) Amazonで見る 【書籍情報】 2022年夏 東北勢初の甲子園優勝!「青春は密」「人生は敗者復活戦」「教育者はクリエイター」「優しさは想像力」チーム作りから育成論、指導論、教育論、過去の失敗談まで、監督自らが包み隠さず明かす!『人と組織を育てる須江流マネジメント術』<有言実行!夢の叶え方>基準と目標を明確化 努力の方向性を示す選手の声に耳を傾け、主体性を伸ばすデータ活用で選手の長所・短所を〝見える化"日本一激しいチーム内競争の先に日本一がある高校野球が教えてくれる、本当に大切なことを学ぶ<目次>序章 『日本一からの招待』を果たすために第1章 人生は敗者復活戦―思考論第2章 選手の声に耳を傾け、個性を伸ばす―育成論第3章 日本一激しいチーム内競争―評価論第4章 チーム作りは文化作り―組織論第5章 教育者はクリエイターである―指導論第6章 野球の競技性を理解する―技術論・戦略論終章 幸福度の高い運営で目指す“2回目の初優勝”
元記事リンク:【仙台育英 日本一からの招待】「2:6:2」の下位層に声をかける 組織全体のモチベーションを保つ方法