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夏の甲子園とその代表校を決める地方大会の中止が決定となった今年――。当事者である球児、指導者はどのような思いで自粛期間を過ごし、野球に取り組んできたのでしょうか? 今回は激戦区神奈川で昨年秋、そして今年夏の代替大会で連続して準々決勝進出を果たした立花学園の志賀正啓監督にお話を聞きました。--まず5月に甲子園が中止になって、監督ご自身は率直にどう思われましたか?「まず神奈川の頂点に立つことが第一で、その次に甲子園なので正直そこまでショックということはなかったです。ただ生徒たちはそれを目標にやってきているわけですから、酷だなということは思いました」 --中止が決まった時には選手に何か話をされましたか?「まだ神奈川は大会をやるか決まっていないけれど、開催に向けて大人も一生懸命動いているから、それに向けて全力で取り組んで戦いきるというのが高校生に求められることじゃないかという話をしました。あとは優勝して『立花学園を甲子園で見たかったね』と言ってもらえるようなチームになろうということも言いました。話をしたのは中止が決まった次の日の朝の全体ミーティングですね」 立花学園を率いる志賀正啓監督 --キャプテンは毎朝ZOOMのミーティングで顔を合わせていたことが良かったという話もしていました。「本当ですか? 相当強制力を働かせましたけど(笑)。目的としては朝早く起きるようにしておきたいというのもありました。担任も持っていますので、休校期間中に野球部以外の生徒に聞くと夜更かしして昼頃に起きる子もいまして。昼間に試合のある野球部の生徒がこの習慣になってしまったらまずいなと思い、毎朝7時に全員でZOOMミーティングをするようにしました」--ZOOMミーティングでは野球だけではない取り組みもされていたと伺いましたが。「生徒がテーマを決めて順番にプレゼンをする時間も設けました。あとはあらゆる職業の人に話をしてもらう機会も作りました。社会人野球選手、商社、不動産関係、キャビンアテンダント。生徒の将来を考えてもそういう色々な人の話を聞く機会はなかなか貴重ですから。4月の下旬からゴールデンウイーク明けの2週間くらいまでそんなこともしていました」--野球や練習に関しての管理や指示などは行っていましたか?「まずアプリを使って何をやったかというのは分かるようにしていました。あとは全体のミーティング以外でもグループに分けて、練習メニュー、トレーニングの共有などは選手同士でやるようにしていました」--なかなか自粛が明けなくて練習できない焦りなどはありませんでしたか?「焦りというのはなかったです。とにかく止まっていたくなくて、前代未聞のこの事態をいかにアドバンテージに変えられるかということを常に考えていました。ですからさっき言ったようないろんな人の話を聞くというのもそうですし、ZOOMや色んなアプリも活用しました。だからこそ優勝したかったですね」 --逆にプラスに変えられた面もありましたか?「教室でオンライン授業の撮影をしたのですが、野球に関してもチームとしての考え方やフォーメーションについて説明する動画を撮りました。アーカイブとして残しておけば後々も使えますから。動画の再生回数が部員数よりも少ない時もありましたが(笑)。あとは1年生は実際にプレー見られていないので、シャドーとスイングは全員に動画で送ってもらいました。そういうことも今までになかったことですので、プラスといえばプラスだったかもしれませんね」 --前代未聞の状況をプラスに変えようというのは素晴らしい発想ですね。「不安に感じているのは保護者と選手ですからね。保護者ともZOOMでミーティングしたりしました。こういう時だからこそ前を向いてできるチームであれば、色んな人からも応援してもらえると思うんです。SNSでチームのアカウントを作って発信しているというのもそういう理由からです。これを良い機会にして、もっと応援してもらえるチームを目指していきたいと思っています」 志賀監督、ありがとうございました! (取材・文:西尾文典/写真:編集部) 関連記事 【立花学園】遠隔地はハンデ? 選手に聞くinnovation2020.4.9 学校・チーム 【立花学園】ICT&ドローンで戦略!山奥なのに最先端2020.4.8 学校・チーム
元記事リンク:【立花学園】辛い経験もプラスに転換!もっと応援してもらえるチームを目指す