新型コロナウイルスの影響で春夏の甲子園が中止になった2020年。それでもこれから全国で行われる独自大会での活躍が期待される選手達がいます。秋のドラフト戦線を騒がせるかもしれない、注目の選手たちを厳選して紹介します注目は三人の本格派右腕、サウスポーでは高田がイチオシ現時点で世代ナンバーワン投手の呼び声高いのが中森俊介(明石商)だ。入学直後からベンチ入りを果たし、1年秋から不動のエースとなると、昨年は春夏連続で甲子園に出場。いずれも準決勝進出を果たし、夏には最速151キロをマークしている。しかし中森の特長は決してスピードだけではない。ストレートも変化球もしっかり請求することができ、同じ球種でも微妙にスピードに変化をつけるなど投球術に関しても高校生離れしたレベルを誇るのだ。最終学年でも好調時のピッチングを続けることができれば、ナンバーワン投手の座をゆるぎないものにできるだろう。中森ほどの実績はないものの、既に大舞台で素材の良さを見せつけているのがこの小林樹斗(智弁和歌山)だ。昨年春、夏と連続で甲子園のマウンドを経験し、春は147キロ、夏は148キロをマークして大観衆の注目を集めた。全身を使った、ゆったりとしたフォームで高い位置から縦に腕が振れ、スピードだけでなくボールの角度があるのも大きな武器。本格派だがコントロールも決して悪くない。昨年秋はもうひとつ調子が上がらなかったものの、潜在能力の高さは申し分ないだけに最終学年でのさらなる飛躍に期待したい。新チームになってから最も評価を上げてきたのが高橋宏斗(中京大中京)だ。下級生の頃はスピードはあってもコントロールが不安定で自滅するケースが目立ったが、昨年秋は安定感が一気にアップ。明治神宮大会では3試合、15イニングを投げて被安打8、16奪三振、3四死球、3失点という見事なピッチングでチームを秋の日本一に導いた。ストレートは木の春になって最速153キロをマークしており、打者の手元で鋭く変化するスライダー、フォークはいずれも超高校級の迫力がある。春の選抜でも中森、小林とともに最注目投手の一人と言えるだろう。中森、小林、高橋は右腕だが、サウスポーでは松本隆之介(横浜)と高田琢登(静岡商)が双璧だ。松本は2年春にはU18の日本代表候補にも選出された大型サウスポー。昨年の冬からこの春にかけて体つきが見るからに大きくなった。6月下旬に行われた練習試合では140キロ台後半のスピードを連発し、視察した9球団のスカウト陣を唸らせるピッチングを披露している。大型の割に器用さがあるのも持ち味だ。高田は中学時代から静岡県内では評判の投手で、多くの誘いもあるなか、父が監督を務める静岡商へ進学。1年夏からマウンドを経験し、昨年春の県大会では1試合16奪三振の快投を見せて、改めてポテンシャルの高さを示した。平均的なスピードは140キロ前後だが、ここ一番ではギアを上げることができ、最速は148キロをマークする。地元中日も年初のスカウト会議で1位指名候補にリストアップしており、代替大会でも注目を集めることは間違いないだろう。小深田、西川は左右の長距離砲、三拍子揃う来田と細川来田涼斗(明石商)は、高校ナンバーワンの呼び声高い強打の外野手。中森とともに1年夏から甲子園に出場。2年春の選抜では準々決勝の智弁和歌山戦で、長い甲子園史上初となる先頭打者ホームランとサヨナラホームランを放つ活躍を見せて、大観衆の度肝を抜いて見せた。均整のとれたたくましい体つきで、運動能力の高さは折り紙つき。また下半身の使い方に粘りがあり、低めの変化球に対応できるのも大きな長所だ。スピード、パワーともにもうワンランクレベルアップすれば、2年前の藤原のように高校生外野手としては珍しいドラフト1位指名の可能性もあるだろう。強打者タイプで筆頭候補となりそうなのが小深田大地(履正社)だ。1年夏から不動のサードに定着すると、昨年は3番打者として春夏連続で甲子園に出場。全7試合で10安打をマークし、チームの全国制覇にも大きく貢献した。秋の近畿大会でもチームは準決勝で敗れたものの、3試合で13打数8安打1本塁打の成績を残している。たくましい下半身を生かした力強いスイングで、打球の速さと飛距離は間違いなく超高校級。サードの守備も安定している細川凌平(智弁和歌山)は、三拍子揃った今年の高校球界を代表するヒットメーカー。無駄な動きのない職人的なスイングで、ボールを芯でとらえる技術は高校生離れしたものがある。コースに逆らわずに広角に打てるのも持ち味。昨年夏の甲子園では2回戦の明徳義塾戦で起死回生の逆転スリーランを放っており、パンチ力も申し分ない。センターから見せる強肩と守備範囲の広さも高校生ではトップクラスだが、この春からは中学時代に守っていたショートにも取り組んでいる。最終学年では内野手としてもどんなプレーを見せてくれるか注目したい。左のスラッガーが小深田なら、右のスラッガーの代表格はこの西川僚祐(東海大相模)になるだろう。1年夏から4番を任されていきなり場外アーチを放ち、その後もホームランを量産している。恵まれた体格を生かした豪快なスイングが持ち味で、パワーは間違いなく超高校級だ。その一方で課題は確実性。タイミングをとる動きに余裕がなく、高いレベルの投手の変化球には対応できていない。昨年夏の甲子園でも2試合でノーヒットに終わった。守備、走塁に特徴があるタイプではないだけに、持ち味の打撃をもうワンランクレベルアップさせたい。 (文/写真:西尾典文)
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