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並外れた身体能力を持ち、現役時代はメジャーに最も近い男とも呼ばれた糸井嘉男さん。本人もメジャーでプレーすることを強く夢見ていたという。そんな糸井さんから、将来有望な高校球児のみなさんへ、「でっかくいこう!」とエールをいただいた。夢だったメジャーリーグ、やりたかった思いは今もある——イベントでmarucciとVictusの金属バットを打って頂きましたが、振ってみて感想はいかがですか?糸井 久々に金属バットで打ちましたけどめっちゃいいですね、振りやすいし。僕がいま高校生だったら間違いなく使っています。——marucciとVictusのバットの特徴は?糸井 日本のバットにはない硬さです。アメリカのバットは反発がいいですし、打感もいい。音も高くて「カーン!」と鳴るんですよ。Victusとmarucciでもちょっと違いがあって、Victusの方がよりハードだと感じます。今のバッティングの主流は打球速度を求めているので、バットは絶対に硬い方がいいと思います。——糸井さんはメジャーリーグ解説でもお馴染みですが、ご自身がメジャーに一番行きたかったのはやっぱり日本ハムの時代ですか?糸井 そうですね。日ハム時代はチームメイトだったダルビッシュ(有/現・パドレス)が行ってから、メジャーがより現実的になったというか目指したいという気持ちになりました。いろんな事情で行けなかったんですけど、夢として残っていて、去年もアメリカに観に行きましたけど、やっぱり「ここでやりたかった」という思いは、今も変わらずあります。——MLBに興味を持ち始めたのはいつくらいからですか?糸井 見るようになったのはイチローさんとか松井秀喜さんとかの時代からで、目指すようになったのはダルビッシュがきっかけですね。ダルビッシュには帰国したときにメジャーのトレーニングの話などをよく聞きました。僕も取り入れてみたものです。——当時MLBで憧れていたバッターは?糸井 レッドソックスで活躍していたデビッド・オルティーズとかマニー・ラミレスです。松坂(大輔)さんがレッドソックスで活躍されていた時代でしたからね。あとは先日お会いした、アレックス・ロドリゲス(元ヤンキースなど)。ただの野球少年のような気持ちになって緊張しました。——現在気になる選手はいますか?糸井 フアン・ソト(メッツ)とエリー・デラクルーズ(レッズ)ですね。ロナルド・アクーニャJr(ブレーブス)以来の40発&70盗塁ができるんじゃないかって思います。ピッチャーだったらポール・スキンズ(パイレーツ)ですね。あの左バッターへのツーシームは打てないだろうな、対戦したくはないですが(笑)。——高校時代はピッチャーとして活躍されていましたが、ケガが多くて3年になってやっと試合に出られるようになったそうですね。糸井 ひざとか肩とか、ケガだらけでしたね。2年生の冬明けから3年生になる頃までほとんど野球ができない状態でした。でもその分、ランニングやウエイトトレーニングをやっていましたよ。僕が通っていた宮津高校は、上下関係もなかったですし、練習も全然辛くなかったですから、高校野球で燃え尽きることなく次のステージに進めたのかもしれませんね。——昨年から高校野球も飛ばないバットに変わって、選抜大会でもホームランが3本しか出ませんでした。糸井 ちょっとやりすぎちゃいますか? と思いますね。大会通じて3本というのはちょっと可哀想。プロを目指している選手はアピールする場ですしね。——ちなみに糸井さんの高校時代のホームラン数は?糸井 8本くらいだと思います。全部3年になって打ったものです。——高校野球もこれからスモールベースボールに向かっていくんじゃないかという声もありますが、そういう流れ、風潮をどのように思いますか?糸井 僕は否定的ですね。子どもたちにはまだまだ将来がありますし、自分の力を伸ばすという観点で言えば、可能性を広げるためにもっとのびのびやらせた方がいいんじゃないかなと思います。 今だったら絶対アメリカの大学を目指す ——最近は日本の高校を出て、アメリカの大学へ進むなど直接MLBを目指す選手も増えてきました。糸井さんが今高校3年生だったら進路の一つにアメリカへ渡ることも考えますか?糸井 絶対目指したいですね。まだ誰もそのルートで成功してないですし、先陣を切る人ってカッコいいじゃないですか? そういう意味も込めて、挑戦している選手たちのことは応援したいです。——高校野球の次のステージでも頑張ろうと思っている全国の高校生へメッセージをお願いします。糸井 僕はピッチャーでプロに入りましたが芽が出ず、25歳のとき野手に転向して活躍できるようになりました。また、プロ一打席目では絶望を感じましたが、何とか続けてこられました。「絶対に無理や」と思ったことも、乗り越えてきたと思います。それから考えると、高校生のみんなには可能性しかありません。これからいろんな壁や挫折があると思いますが、絶対に乗り越えられます。自分を信じて諦めずに一歩一歩進んでください。(取材・文_永松欣也 写真_小沢朋範) 糸井嘉男 1981年7月31日生まれ。2003年に近畿大から自由枠で投手として日本ハムに入団。3年目から野手に転向すると日本を代表する「5ツールプレイヤー」に。2013年にはWBCで侍ジャパンの四番打者も任された。NPB史上初の6年連続打率3割・20盗塁・ゴールデングラブ賞を達成者。オリックス、阪神でも活躍し、引退後は解説者やタレントとしても活動している。 問い合わせ先 マルチ&ヴィクタススポーツジャパン合同会社 〒105-7090東京都港区東新橋1丁目8-2 カレッタ汐留B1https://mvs-japan.com/
元記事リンク:糸井嘉男インタビュー|今だったら絶対アメリカの大学を目指す