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全ポジションの指導を網羅!新基準バット対応マル秘上達メソッド!2018 年から続く「技術の極意シリーズ」の第5弾のテーマは「守備技術」。今年3月に発売された『高校野球界の監督がここまで明かす! 守備技術の極意』(大利実/カンゼン)から、今回は21世紀枠として今年のセンバツにも出場した横浜青陵の野原慎太郎監督の章から一部を紹介します。型作りの中で動ける神経を作っていく「自治運営」のベースとなる『虎の巻』――守備指導において、もっとも大事にしているのはどんなことですか。野原 技術面で言えば、「型作り」です。正面のゴロ捕球は基本で、逆シングルは応用という考えがありますが、試合で起こりうるプレーのすべては基本であり、そのための「型」がある。バッティングで言えば、インコースを打つための「型」があれば、アウトコースを打つための「型」もある。その引き出しをどれだけ増やしていけるか。――三塁ベース際の打球を捕るのも「型」。野原 そういう考えです。そういう練習を毎日やる必要はないので、どこかのタイミングで1回でも入れておくだけで、選手の意識が変わります。――甲子園常連校と比べると、入部してくる選手の能力に差があると正直感じますが、2年半でどのように埋めようと考えていますか。野原 「型作り=神経作り」です。型を作ることは、今まで使っていなかった神経を作ることにつながっている。できないのではなくて、やっていなかっただけ。だから、後天的に磨くことができると思っています。メニューに関しては、状況を想定した「細分化練習」が多く、年間通して取り組んでいます。たとえば、ジャンピングスローやランニングスローも、それだけに特化した練習をやる。捕ったあとの足の使い方まで練習するので、たとえボールを捕れなかったとしても、投げにいくところまで体を持っていく。捕ることから投げるところまでを、一連の「型作り」「神経作り」と捉えています。自分の「型」がないと、毎回イチかバチかのプレーになってしまいます。――「神経作り」はノックの打球でやるのですか。野原 最初は、シャドウでやります。神経を作るには、まずはそこから。ボールを使うとどうしてもボールの動きに集中して、神経を磨くことができません。この考えは、若い頃からとてもお世話になっている蔦宗浩二先生(武相中バレーボール部監督/釜利谷高、順天堂大の監督として日本一を成し遂げたバレーボール界の名将)の教えが土台にあります。蔦宗先生曰く、「ボールを入れると、上達のスピードが100倍遅くなる」。シャドウで動きを身につけたあとは、同じような場所に規則的にボールを打ち続けて、反復練習で神経を作っていく。そのため、ピッチングマシンをかなり重宝していて、ノックよりも効率がよく再現性の高い練習ができます。――具体的にはどんなメニューがありますか。野原 カットプレーの練習でも、マシンを外野からの送球に見立ててやります。特に使うのが、外野フライです。うちの外野手は代々、3年生の夏には球際に強くなっている選手が多いですが、日頃から球際を捕る練習をしているからだと思っています。たとえば、ダイビングキャッチは根性や気合いではなく技術。ほかには、右バッターのライト線、左バッターのレフト線に切れていく打球を再現するためにマシンの角度を変えて、打球が跳ねる方向に「先回り」する練習もあります。――ノックで打つのはなかなか難しい打球ですね。野原 20回に1回、うまく打てるかどうかです。本当に、マシンのおかげです。マシン以外にも、外野守備の神経を作るドリルは豊富にあります。――実戦での守備力はどのように鍛えていますか。野原 神経を作るドリルも、実戦での守備も、1年通して同時並行でやっています。「この動きができるようになってから、実戦練習をやろう」と考えていたら、夏には間に合いません。――納得の考えです。練習メニューはどのように組んでいますか。 野原 昨年あたりから、選手主体の「自治」をテーマに部活動運営を進めるようになりました。そのため、練習もキャプテンや副キャプテンの幹部が中心になって、1週間のメニューを考えています。指導者としては、「自治」に重きを置いてから、『虎の巻』を渡すようになりました。各メニューの意図や注意点が細かく書いてあるマニュアルで、今まで選手に渡すことはなかったんですけど、自分たちでメニューを組み立てていくには、選手も指導者と同じ考えを持つ必要がある。連携プレーの動きや、メニューの種類などすべてがそこに書いてあるので、できていない選手がいれば、「ちゃんとマニュアルを読みなさい」と言うこともあります。*続きは書籍でお楽しみ下さい。野原慎太郎(のはらしんたろう) 監督1982年8月25日生まれ、大阪府出身。東海大相模高〜横浜国大。現役時代はサイドスローの投手としてプレーし、2000年センバツで優勝。横浜国大で家庭科の教員免許を取得。岸根高、大師高で監督を務めたのち、2020年夏から横浜清陵高の監督に就任。昨春は県大会でベスト8に入り、夏の第二シードを獲得。同年秋もベスト8進出。 Amazonはこちら
元記事リンク:高校野球界の監督がここまで明かす!守備技術の極意|野原慎太郎監督(横浜青陵)