高校野球界の監督がここまで明かす!守備技術の極意|吉田洸二監督(山梨学院)

高校野球界の監督がここまで明かす!守備技術の極意|吉田洸二監督(山梨学院)

全ポジションの指導を網羅!新基準バット対応マル秘上達メソッド!2018 年から続く「技術の極意シリーズ」の第5弾のテーマは「守備技術」。今年3月に発売された『高校野球界の監督がここまで明かす! 守備技術の極意』(大利実/カンゼン)から、2023年センバツ優勝、この夏も甲子園四強、山梨学院の吉田洸二監督、吉田健人部長の章から一部を紹介します。高校野球の背番号=ボールに触れる回数の多さ、ファーストのフォロー技術が勝敗を分ける吉田洸二監督は2009年春に長崎県立清峰、そして2023年春には山梨学院を率いて、センバツを2度制覇。吉田健人部長は監督の長男にあたり、学生コーチを4年務めたあと、2020年からは監督・部長としてコンビを組む。全体的なマネジメントは監督が務め、技術的な指導は部長が受け持つのが山梨学院のスタイルで、親子ならではの信頼感でチームを作り上げている。本章では、監督が求める「ファーストの守備力」を先に紹介したあと、部長による技術解説に入っていきたい。——取材のテーマは「ファーストの守備力」です。山梨学院は代々、守備に優れた選手をファーストに起用している印象があります。吉田 それはもう、これまでの経験で学んだことです。長崎で監督をしていたとき、幾度となく、ファーストの守備で負けた苦い思い出があります。ランナー一塁からのファーストゴロで、無理に二塁に投げて、一塁ランナーにぶつけてしまったり、内野手の低投をフォローできずにピンチを広げてしまったり……。そうした経験があったからこそ、今はファーストを大事にしていて、部長がよく鍛えてくれています。——山梨学院のファーストは、センバツを制したときの高橋選手や、2019年世代の相澤利俊選手ら、グラブさばきがうまいですよね。吉田 感覚としては、一番うまい内野手をショートに置いて、次に守れる選手をファーストに置く。それぐらい、重要なポジションであるのは間違いありません。持論ですが、背番号順にボールをたくさん触ると思っています。ピッチャーが1番で、キャッチャーが2番で、ファーストが3番。1試合通じて、ほかの内野手に打球が飛ばないことがあっても、ファーストが1回もボールに触れないことはないはずです。——当たり前ですが、ファーストの捕球でアウトが成立する。吉田 内野手の送球が乱れたとき、特に低いバウンドを投げたときに、ファーストがどれだけフォローできるか。この技術が勝敗を分ける、と言っても過言ではありません。プロ野球と違って、内野手の送球が安定しているわけではないですから。乱れたときに、ファーストがフォローできれば、ミスがミスではなくなるんです。2アウトから、内野手の低投をファーストが捕球できれば0点で終わるところを、後ろに逸らしてしまったためにピンチが広がり、そのあとにタイムリーを打たれて、2点、3点取られるのが高校野球です。——山梨学院では、ファーストがフェイスガードを着けた状態で、ショートバウンドやハーフバウンドの送球を受ける練習をやっていますね。吉田 部長がほぼ毎日打っています。ああいう地道な練習の積み重ねが、大事なんです。——あの練習を本当に大事だと思ってやっている高校は、意外に少ないですよね。吉田 あれは、ノッカーの技術も問われますからね。——なるほど。ほかに、ファーストの守備で気になるプレーはありますか。吉田 3-6-3ですね。ファーストが投げたあとに、自らベースに戻って、ダブルプレーを取れるか。ここで、ピッチャーのベースカバーを待ってしまうと、だいたいセーフ。これもファーストの技術ですが、ダブルプレーを取れるかどうかはかなり大きなプレーになります。——ポイントはどこにありますか?吉田 ファーストの戻りの速さです。これも、部長が徹底的に鍛えています。あとは、タイブレークが採用されたことで、無死一、二塁からのファースト前のバント処理がこれまで以上に重要になりました。サードで刺せるファーストがいれば、かなりの武器になるのは間違いありません。——個人的に気になるのは、一塁にランナーがいるときのファーストの守備位置です。片足を一塁ベースに着けずに、30センチほど離れたところで構えていますよね。吉田 以前、外部コーチをお願いしていた小倉清一郎さん(元横浜部長)の教えです。少し離れているだけで、一、二塁間の打球に追いつけることもありますし、ファーストのゴー・バック(97ページ参照)もやりやすいですね。——相手も、微妙に離れているのはイヤかもしれません。吉田 イヤだと思いますよ。そういう守り方に慣れていないですから。ただ、ベースに着いていたほうが、一塁線の打球に対応できるかもしれませんし、一概にうちのやり方が絶対に良いとは言い切れないと思います。——何を優先するかで変わってきそうですね。吉田 そうだと思います。細かいところは、部長に聞いてみてください。私が知らないところで、かなりのこだわりを持っているはずです。*続きは書籍でお楽しみ下さい。 Amazonはこちら 吉田洸二(よしだこうじ) 監督1969年5月6日生まれ、長崎県出身。佐世保商高〜山梨学院大。大学卒業後、高校の教員となり、佐世保商高、平戸高、北松南高(現・清峰高)の監督を務める。清峰高で5度の甲子園出場を果たし、2009年にはセンバツ初優勝。2013年より山梨学院の監督に就任し、2023年センバツでは自身2度目の優勝。今春含め春夏12度の甲子園出場。吉田健人(よしだけんと) 部長1996年10月10日生まれ、長崎県出身。当時、父・洸二氏が監督を務めていた清峰高に入学。早くから指導者を目指し、山梨学院大卒業後の2019年に山梨学院のコーチに就任。2020年からは部長を務める。2023年春には監督・部長の父子コンビで全国制覇。 関連記事 高校野球界の監督がここまで明かす!守備技術の極意|岩井隆監督(花咲徳栄)2025.6.5 トレーニング 高校野球界の監督がここまで明かす!守備技術の極意|小牧憲継監督(京都国際)2025.5.8 トレーニング 高校野球界の監督がここまで明かす!守備技術の極意|野原慎太郎監督(横浜青陵)2025.4.28 トレーニング

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