「高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集」にチャレンジ!(中級編:問題2)

「高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集」にチャレンジ!(中級編:問題2)

昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。今回は中級編の中から、同点で迎えた最終回の守備側のある場面からの出題です!中級編|問題2 問題 同点で迎えた9回裏、2死から四球を与えました。打者は7番です。この場面で守備側は、どんな守備隊系を取ればよいでしょうか?【場面・状況】2死一塁、終盤または延長、接戦でも同様 解答・解説 ファースト、サードはライン際を詰め、外野手は後ろに下がって深めのいわゆる長打警戒シフトを取ります。野球は最悪から考えることが大事。同点で裏の守りですから、サヨナラ負けだけは防がなくてはいけません。この場合の最悪は、長打を打たれて一塁走者の生還を許すことですから、たとえ7番打者でも長打にならないように、最悪でも三塁で止められるような守備隊系を取ります。 実際にあったプレー 2016年センバツ決勝・智弁学園対高松商戦。延長11回裏、智弁学園の攻撃。2死から5番の高橋直暉がセンター前ヒットで出塁しました。続く打者は6番の村上頌樹。投手ながら長打のある打者ですが、高松商の外野陣の守備位置は変わりません。そして、初球。ストレートを捉えた村上の打球はセンターの頭上を襲います。センターの安西翼が賢明に追いかけますが、頭の上を越え、ワンバウンドでフェンスに当たりました。懸命にバックホームしますが間に合わず、一塁走者の高橋が生還。智弁学園がサヨナラ勝ちで優勝を決めました。試合後、安西に守備位置について訊くと、こんな答えが返ってきました。「定位置より前でした。ポテンヒットをなくそうと思った。ピッチャーはそれが嫌だと思ったので」確かに、打ち取った辺りが前に落ちるポテンヒットは投手にとって嫌なものです。しかし、この場合に考えなくてはいけないのは最悪のこと。長打でサヨナラ負けをすることです。ポテンヒットなら2死一、二塁。悪くても一、三塁で失点はしませんが、長打が出たら負けてしまいます。ケアしなければいけないのは長打なので、守備位置は長打警戒の深めのシフトということになります。安西はこうも言っていました。「最後、自分の守備位置の確認ができてなかった。ポジショニングのミスで点を取られて悔いが残ります」このように、ポジショニングが間違っていることはよくあります。高松商がやるべきことはプレー前のJK(事前の声)によるJK(準備と確認)。ベンチからポジショニングを確認為て指示をする。内野手が外野手の位置を確認して指示をする。外野手同士でで確認して指示をする。これができていれば、あの一打の負けは防げていました。監督はバッテリーに集中して見落とすことが多いですから、選手同士で必ず確する習慣をつけてください。 『高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集』(田尻賢誉/竹書房) 昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。 単行本の購入はこちら  Kindle版の購入はこちら 著者 田尻賢誉(たじり・まさたか)1975年兵庫県生。学習院大学卒。ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球をはじめ、徹底した野球の現場取材に定評があるほか、指導者、中高生、父兄への講演活動も行っている。『機動破壊』、『機動破壊の秘策』、『機動破壊の解析力』、『高校野球は親が9割』、『超強豪校』、『激戦区を勝ち抜く方法』(すべて小社)など著書多数。 関連記事 「高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集」にチャレンジ!(中級編:問題1)2020.4.22 トレーニング チームミーティングに最適!「高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集」2020.4.21 PR

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