【八戸工大一】金渕光希|U-18代表候補に選ばれた左腕の現在地とこれから

【八戸工大一】金渕光希|U-18代表候補に選ばれた左腕の現在地とこれから

3月31日に発表された野球日本代表、侍ジャパンU-18代表候補選手。センバツ大会を沸かせた顔ぶれが並ぶ中、同大会未出場ならメンバーに選ばれた一人が八戸工大一(青森)の金渕光希投手。オフ期間中の取り組み、今後の目標などについて話を聞きました。下半身が強くなり、重心がブレないフォームになってきた――今年の青森県には洗平比呂投手(八戸学院光星)や関浩一郎投手(青森山田)など好投手揃いですが、ポテンシャルなら金渕投手がナンバーワンという声も聞きます。金渕 ありがとうございます。でも自分はまだ甲子園にも出たことがありませんし、一冬越して技術的にも人間的にもひと回り成長したところを見せたいです。――洗平投手は昨夏の青森大会決勝で投げ合い、同じ左腕のドラフト候補でもあります。金渕投手にとってどんな存在ですか?金渕 同じ八戸地区にライバルがいることで、自分も「追いつきたい」と練習を頑張れます。自分のパフォーマンスを向上させてくれる存在なのかなと。――口ぶりからすると、今は洗平投手のほうが上と見ているのでしょうか?金渕 昨夏の甲子園でノースアジア大明桜(秋田)を完封した試合をテレビで見て、レベルの差があると感じました。コントロールがいいし、球威もあるし、変化球を低めに集められる。投手としてすべて揃っていて、ほぼ完璧に近いと感じます。――とはいえ、金渕投手の指にかかったストレートには夢があると感じます。金渕 投げていて「速い球がいったな」という感覚はあまりないんですけど、監督の長谷川(菊雄)先生からもよく言われます。「右バッターのインコースにいくフックボールが一番いい」と。 ――金渕投手のここまでの歩みについてもお聞かせください。六戸町立七百中の軟式野球部時代から、近隣の強豪校の誘いを受ける存在だったようですね。金渕 チームとしては県大会にもあまり出られず、そこまで強くはありませんでした。――当時の最高球速は?金渕 135キロです。――左投手でそれだけ出ていたら、注目されるはずですね。八戸学院光星からも誘いがあったとか?金渕 甲子園常連校なので、練習に耐えられるのか、ベンチに入れるのか不安があって……。それよりも甲子園にあまり出ていない高校で、強いチームを倒したい思いがありました。――公立校に進む選択肢も視野に入れながら、最後に八戸工大一を選んだ理由は?金渕 長谷川先生から熱心に誘っていただいて、「素質があるから」という言葉が刺さりました。投手を育てるのがうまい監督と聞いていましたし、将来のことを考えると八戸工大一でやるのが一番の近道だと感じました。――種市篤暉投手(ロッテ)や黒田将矢投手(西武)など、数々の好投手を輩出していますからね。高校で技術的に伸びたのは、どんな部分ですか?金渕 中学まではフォームを気にせず力任せに投げていたのですが、高校でトレーニングを積んで下半身が強くなり、重心がブレないフォームになってきました。あと長谷川先生にいつも言われていたのは、「腕の軌道で投げるコースが変わる」ということ。たとえば一塁側のコース(右打者の外角)なら、肩のラインでボールを離すとそのコースに行きやすい。逆に三塁側(右打者の内角)は自分の心臓付近(ほぼ体の中心)で離すと、いい感じでフックボールが投げられると。「下半身を使って投げる」をテーマに取り組んだオフ期間――内面的にはどんな成長を感じますか?金渕 中学までは自己中心的なところがあって、言葉遣いが荒れて両親を困らせるところもありました(笑)。マウンドでも打たれると気持ちが高ぶって、プレーが雑になってしまって。高校では先輩に対する口のきき方から覚えて、社会に出た時に役立つようなコミュニケーション能力がついてきたと思います。今は味方がエラーしても、「自分が抑えれば点は取られない」と思えるようになりました。――昨夏の青森大会は2年生ながらエースとして連投が続き、肉体的にも大変だったのではないでしょうか。金渕 毎日体のケアをちゃんとやっていたので、痛い部分はあまりありませんでした。決勝戦では点を取られてはいけない場面で、あと一歩粘れなかったと感じています。――夏の大会後は、コンディションが十分ではなかったようですね?金渕 夏の甲子園に行けなかったのがショックすぎて、落ち込んでしまいました。新チームではうまくいかないことも多くて、肩を痛めてしまって。秋はボロボロで、悪いなりに投げるしかなかったですね(準々決勝で青森山田に3対8で敗退)。――現在は体調的に問題ないようですが、この冬はどんなテーマで取り組んできたのでしょうか?金渕 下半身を使って投げることです。いい時は軸足(左足)で立った時に股関節にハマる感覚があるんですけど、悪い時はハマらずに体重移動が始まってしまいます。試合になると体に力が入って思うように投げられないので、いかに練習で意識して取り組めるかが大事かなと。試合では無意識にできるようにしていきたいです。――ここまでの仕上がりはどうですか?金渕 年を越してから体重は2〜3キロ増えて85キロになりました。ブルペンで投げている感じ、前よりも球のキレが出てきていると感じます。――進路はどう考えていますか?金渕 まだ長谷川先生と話し合っている最中で、プロ志望届を出すか大学に進むか決めていません。春に結果を残して、自信をつけたい思いもあります。――高い壁になっている八戸学院光星に対しては、どんな思いがありますか?金渕 2年連続であと一歩というところで負けてしまっているので、今年は一歩も譲れないです。夏までにもっと技術を向上させて、リベンジしたいです。 (取材・写真/菊地高弘) 関連記事 【八戸学院光星】「最速147キロ左腕」洗平比呂、出力8割で勝利最優先2024.3.18 選手 【八戸学院光星】「強打のチーム」のイメージ変える、超高校級左腕トリオ2024.3.11 選手 「高校野球監督がここまで明かす!投球技術の極意」長谷川菊雄監督|八戸工大一2021.10.25 トレーニング 【2019センバツ注目選手】武岡龍世(八戸学院光星)堅実な守備とパンチ力溢れるバッティング!2019.3.19 選手 【八戸学院光星】甲子園10大会連続初戦突破!その強さの秘密とは?2019.3.1 学校・チーム 【八戸学院光星】昔も今もハンデはない!準備と対策でセンバツ優勝を狙う2019.2.28 学校・チーム 【キャプテンに聞きました】武岡龍世(八戸学院光星)「坂本先輩に憧れて八戸学院光星へ!」2019.2.27 選手 【キャプテンに聞きました】根本雄太(青森山田)「キャプテンなので仲間につらい顔は見せられません!」2019.1.4 選手

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